
「最近、優しくなったよね」と褒めても「気のせいだろ」と言い続ける彼。その不器用さに気づいた話
コラム
直接聞いても認めない彼
気のせいなんかじゃない。次の週末、私は彼の家で会ったときに、もう一度聞いてみることにしました。映画を観終わった後のソファで、私はぽつりと言いました。
「やっぱり変わったよね?」
彼は私の方を見ずにテーブルの缶を手に取り、頬を掻きながら言いました。
「だから別に変わってないって」
口調は普段通りで、苛立ちもありません。ただ、いつもより少しだけ早口でした。目線が私から逸れていました。認めない、というよりは、認めたくない、という雰囲気でした。
そして...
それ以上は聞きませんでした。聞いたところで、彼はきっと最後まで「気のせい」と言い切るでしょう。理由はわかりません。私が知らないところで、何かがあったのだとは思います。
帰り道、駅まで送ってくれた彼が改札の前で「今日もありがとう」と言いました。前なら絶対に言わなかった言葉です。私はちょっと驚いてから「こちらこそ」と返し、小さく笑いました。
変わった理由を本人が言いたくないのなら、それでいい。認めない彼の不器用な優しさを、私はそっと受け取り続けようと思っています。いつか、彼の方から話してくれる日が来るかもしれない。来なくてもいい。今のこの距離が、思っていたよりずっと心地よかったのです。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)



























