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誕生日に開いたアルバムで動けなくなった俺。「目の前を楽しめばいいのに」と切り捨てた俺への返事だった

コラム

誕生日のアルバム

俺の誕生日の夜、ケーキを食べたあと、彼女が「ちょっと地味なんだけど」と言ってアルバムを差し出してきました。

表紙をめくると、2年分の写真がぎっしり並んでいました。海辺の波、駅前のイルミネーション、犬と歩いた帰り道、知らない街のカフェの小皿。そのほとんどに、俺自身が小さく写り込んでいたのです。

ページの端には、彼女の細い字でコメントが添えてありました。「機嫌悪そうな顔。でもなんか好き」「寝起きの後ろ姿」「私の知らない方を見てる」。

俺が「またか」と思っていた数百のシャッターは、ぜんぶ俺たちのものとして、ここに残されていました。

そして...

「これ、ずっと撮ってたやつ?」と聞くと、彼女は「うん。スマホばかり見てたのは、ちゃんと残したかったから」と答えたのです。

俺はページから顔を上げられませんでした。あの夜、俺が「目の前を楽しめばいいのに」と言った夜の写真も、ちゃんと一枚入っていたのです。窓越しの夜景の手前に、ちょっと困ったような顔をした俺が映っていました。

スマホ越しに彼女が見ていたのは、ずっと俺だったのです。「何も知らずに文句だけ言ってごめん」と、ようやく声が出ました。自分でも情けないほど小さい声だったのを覚えています。

それから俺はもう一度ページの最初に戻って、1枚ずつゆっくり見直しました。彼女が選んだ写真と、添えられたコメントを。最後のページを閉じたとき、彼女をまっすぐ見て「ありがとう。今までで1番嬉しい誕生日だ」と言いました。気づくと、隣にある彼女の手を握っていました。

これまで何百回も隣にいたはずなのに、本当に隣にいることの意味を、俺はこの夜にようやく知ったのです。

(20代男性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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