
「無理してお父さんと呼ばなくていい」と言った継父→運動会で響いた息子の声
コラム
息子が夫を名前で呼ぶことを、私たちは2年間続けてきました。それが家族の形だと思っていた私が、観客席で聞いた一つの呼び方が、すべての景色を変えました。
「ヒロくんでいいから」と言った夫
再婚した日、夫は息子の前にしゃがんで言いました。
「無理してお父さんと呼ばなくていいよ。ヒロくんでいいから。」
息子はまだ小学校に上がる前で、こくりとうなずいただけでした。前の夫を病気で亡くしたのが、息子が5歳の時。新しい夫はそのことをずっと気にかけていて、息子に何かを強いることを避けていたのです。
息子は本当に「ヒロくん」と呼び続けました。私は最初、それでいいのかと迷ったこともあります。けれど夫が「これでいい」と笑って言うので、私もそう思うようにしてきました。
息子と夫は仲のいい兄弟のような距離感で、いつも一緒にゲームをしたり、図書館に行ったりしていました。
バトンが落ちた瞬間
リレーが始まりました。息子は2位でバトンを受け取るはずでした。けれどバトンが手から滑り落ち、息子は一度立ち止まってしまったのです。私の隣で、夫が思わず「拾え!」と叫びました。普段あまり大声を出さない人だったので、私は思わずその顔を見ました。
息子はバトンを拾い、走り出しました。3位、4位と順位を落としていきます。それでも息子はあきらめずに、必死で前を追いかけていました。私は声をかけることもできずに、ただ息子の姿を目で追っていました。
最後のコーナーを曲がったところで、息子は前の走者を一人抜きました。3位です。ゴールラインまであと20メートル。息子の視線が、観客席の私たちに一瞬向けられた気がしました。
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校庭に響いた一言


























