
彼が作った旅行のしおり。担当の欄で、私のところだけがぽっかり空いていた
コラム
メッセージの通知音で画面を見ると、彼から一つのファイルが届いていました。「旅行のしおり、作ってみたよ。見てみて」開くと、行き先も持ち物も丁寧にまとめられた、彼らしい几帳面なしおりです。ところが担当を決めるページで、私の欄だけが、ぽっかり空白のままでした。
几帳面なしおりの、空っぽの欄
彼は何ごとも前もって準備するタイプで、今回の旅行も、行き先から持ち物リストまできれいにまとめてくれていました。私はその丁寧さがうれしくて、画面をスクロールしながら、当日を思い描いていました。
ところが、担当を決めるページを開いて、私は画面を見つめ直しました。運転も、宿の予約も、会計も、写真も、すべて彼の名前で埋まっています。それなのに、私の欄だけが空白でした。書き忘れかな、とも思いました。
けれど、ここまで丁寧に作る人が、私の名前だけうっかり抜かすでしょうか。小さな引っかかりが、消えないまま残りました。
運ばれるだけの、お客様の旅
旅行が始まると、彼は本当によく動きました。重い荷物は全部持ってくれて、宿の手続きもさっと済ませてしまいます。私が財布を出そうとすると、「いいよ、僕がやるから。座ってて」と笑って言うのです。
気遣ってくれているのはわかります。それでも、何もすることがないまま座っている自分が、だんだん心細くなっていきました。私はこの人の隣で、ただ運ばれているだけなのかもしれない。
あの空欄が、頭から離れませんでした。お礼を言いながらも、私はバッグの持ち手を握り直していました。
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思い切って聞いた、空欄のこと

























