
「元は取らないと、損だろ」賢く節約しているつもりの俺は、彼女の沈黙の意味が分からなかった
コラム
彼女が黙り込んだわけ
「そんなに急いで飲まなくても、いいんじゃない?」
彼女がぽつりとそう言ったとき、俺は「君も飲みなよ。頼んだんだから、損するよ」と返しました。せっかく頼んだのだから、飲まないほうが損だと、本気でそう思っていたのです。
帰り道、彼女の口数はめっきり減っていました。疲れたのかと声をかけても、短い返事が戻ってくるだけ。何が彼女をそうさせたのか、そのときの俺には見当もつきませんでした。
そして...
あれから、彼女とは会う回数が減っていきました。今でも俺は、お金を賢く使うことが間違いだとは思えません。一本の飲み物を我慢して、二人でゆっくり過ごせる店を選んだ。それのどこがいけなかったのか、正直なところ、まだ答えは出ていないのです。
ただ、彼女がグラスを回していたあの横顔だけが、ときどき頭をよぎります。俺が元を数えていたあいだ、彼女は何を思っていたのだろう。その問いの答えを、俺はいつか自分で見つけなければいけない気がしています。
(30代男性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)


























