おしゃれと恋で もっとかわいく - ハウコレ
SP用検索ボタン
メニューはこちら

「たかが傘で大げさ」と言ってしまった私→友人の大切な傘だと知り、雨の中で固まった

コラム

強くなる雨を窓の外に見ながら、私は傘立ての前で迷っていました。その日に限って、自分の傘を持ってくるのを忘れてしまったのです。友人たちはまだ席に残っていて、傘立てには何本かの傘が並んでいました。

傘を忘れた、雨の出口で

自分の傘を忘れたと気づいたのは、帰ろうとしたときでした。雨は本降りで、駅まで歩けば確実にずぶ濡れになります。傘立てには、何本かの傘が残っていました。その中に、淡い色のきれいな傘が一本あったのです。誰のものだろうとは思いましたが、私は深く考えないことにしました。同じような傘はいくらでもある。少し借りて後で返せばいい。そう自分に言い聞かせて、その傘を手に取ったのです。

「たかが傘で大げさ」と、ごまかした私

傘を広げて歩き出したところで、後ろから友人の声がしました。振り返ると、「それ、私の傘だと思う」と言うのです。心のどこかで、やっぱり、と思いました。それでも、認めてしまえば、自分が人の傘を勝手に持ち去ったことになります。その気まずさから逃げたくて、私は「たかが傘で大げさ」と言ってしまったのです。同じような傘なんてどこにでもある、気のせいではないか、と。本当は、その淡い色の傘がていねいに使われているのに、気づいていました。

  • X
  • Line