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「あの日の私の写真、消したよね」。残っていたのは、後ろ姿の一枚だけ

コラム

消した理由を聞いて

数日が過ぎたころ、向かい合った食卓で、私はとうとう切り出しました。「あの日の私の写真、消したよね」。彼は箸を置き、決まり悪そうに目をそらしてから、話し始めました。「あれは、泣いてる君が写ってたから」。あの日、ささいなことで気持ちが沈んで、人前で泣いてしまったことがあったのです。彼は、私がつらかったことを思い出してほしくなくて、消したのだと言いました。それから、絞り出すように続けました。「後ろ姿のあの一枚だけは、消したくなかった」。先を歩く私を見ながら、この人と歩いていきたいと思った瞬間なのだそうです。勝手に消したことを、彼は頭を下げて謝りました。

そして...

彼の言う通り、後ろ姿の一枚は覚えのない写真でした。私が前だけ見て、迷いなく歩いていく姿。消した一枚も、残した一枚も、彼なりに私を思ってのことでした。勝手に決めた彼も、確かめずに責めた私も、配慮に欠けていました。次は、二人で並んだ顔の見える一枚を、私から頼んで撮ってもらうつもりです。

(20代女性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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