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「このほうが似合っていますよ」と言い切った俺→切り落としたのは前髪ではなく、積み上げた信頼だった

コラム

注文は明確だった

「切らないでとお願いしましたよね」と言われ、俺は「でも、このほうが似合っていますよ」と答えました。返ってきたのは、「似合うかどうかを決めてほしかったわけではありません。切らないでほしかったんです」という言葉でした。店長が入れ替わり、俺は彼女の話を隣で聞きました。結婚式を控えていたこと。伸ばした前髪で決めていた髪型があったこと。俺は何も聞かないまま、その予定ごと切り落としていました。注文は明確で、解釈の分かれる余地はありませんでした。俺が自分の判断を優先しただけでした。

そして...

店長は料金を受け取らず、頭を下げました。俺も謝りましたが、彼女は次の予約を入れずに帰りました。数日後、店として謝罪の連絡を送り、俺は「似合わせることを優先してしまった」と書き添えました。返事はありませんでした。それから俺は、カウンセリングで注文を復唱するようになりました。変えたほうが似合うと思っても、切る前に確認しています。切った髪は戻せません。だからこそ、技術より先に許可が要りました。あの日の俺は、信頼されていたのではありません。注文を守ると信じてもらっていただけでした。

(30代男性・美容師)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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