「どの浴衣が似合う?」彼に写真を送った私、祭りの日、差し出された紙袋の中身

コラム

短くなっていくやりとり

その日から、彼とのやりとりは事務連絡のようになりました。祭りの集合場所を決める話も、私からは必要なことだけ。彼から届いた「楽しみだね」にも、絵文字1つで返してしまいました。既読はすぐつくのに、会話は続きませんでした。どの浴衣にしたのかも、私は最後まで伝えませんでした。画面の向こうで彼が何を考えているのか、あの頃の私には分からないままでした。当日、鳥居の前に立つ彼を見つけた時、私は人の流れの中で歩幅を緩めてしまいました。

そして...

歩み寄ってきた彼は、鞄から小さな紙袋を出しました。「あの写真の浴衣に、合うと思って」。中をのぞくと、白い朝顔の髪飾りが入っていました。「どっちも似合ってて、選べなかったんだ」。責めるつもりで用意していた言葉が、ほどけていくのが分かりました。私の口から出たのは「つけて」の一言でした。ぎこちない手つきで髪に飾りを留めてもらう間、屋台の明かりがにじんで見えました。あの髪飾りは今、玄関の鏡の横に掛けてあります。次の夏の浴衣は、最初から2人で選びに行く約束をしました。

(20代女性・事務職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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