親友の結婚式で、ご祝儀を渡せなかった私が笑ってしまった理由

コラム

帰国してすぐに誘っても、返ってくるのは短い返事ばかりでした。式から3か月、会えない理由を私はまだ分かっていませんでした。

受付で名前を書き終えると、係の女性の目が私の手元に向きました。差し出せるご祝儀袋は、バッグのどこにもないまま。小さく会釈をして、披露宴会場の扉へ向かいました。

転職の合間に届いた招待状

招待状が届いたのは、前の会社を辞めたばかりのころでした。次の職場への入社は式の翌月で、最初の給料はさらにその先。半年前に大学時代の友人と申し込んでいた海外旅行の代金も、すでに払い終えていました。

引っ越しと式場までの新幹線代、ドレスの支度を済ませると、手元のお金はほとんど残りません。少ない額を包むことも考えましたが、10年来の親友の晴れの日に、半端なお祝いを渡すのはどうしても嫌でした。

転職のことも、お金のことも、彼女に言えないまま当日を迎えてしまいました。

出口で出てしまった笑い

披露宴が終わり、出口でお菓子の小袋を受け取ったとき、黙って帰ることだけはできないと思いました。

「結婚式のご祝儀、後で払うね!」

真面目な顔で言えば、彼女の大切な日に水を差す気がして、明るく笑ってみせました。

「あ、うん」

返ってきたのは、少し困ったような笑顔でした。隣の新郎にも会釈をして、後ろの列に押されるように会場を出ました。

帰りの新幹線では、もっと別の言い方があったはずだと、窓の外を見ながら考え続けていました。

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