「サプライズ!」と笑った友人が、居酒屋での私の誕生日会に連れてきたのは彼女の彼氏でした

コラム

並んで自撮りをする2人の向かいで、取り分けたケーキはなかなか減りませんでした。友人の彼氏を帰らせる言い方なんて、あの場では思いつかなかったのです。

ろうそくの火を吹き消すと、テーブルのあちこちから拍手が起きました。大学時代の友人たちが、内緒で居酒屋の個室を予約してくれていました。店の入り口のほうから聞き覚えのある笑い声が近づいてきたのは、その拍手がやんだ頃でした。

「サプライズ!」と現れた、友人の彼氏

集まったのは、私を入れて5人です。プレートに名前の入ったケーキまで用意されていて、乾杯から笑いっぱなしでした。少し前に「ちょっと電話してくる」と席を外した友人が戻ってきたのは、ちょうど切り分けを始めたときです。

「サプライズ!」

笑顔の友人の隣には、知らない男性が立っていました。付き合って半年になる、彼女の彼氏だそうです。

「前に紹介してって言ってたでしょ」

確かに、ランチの席で「今度、彼氏さんどんな人か紹介してよ」と頼んだのは私でした。けれど、それが今日だとは考えもしなかったのです。

旅行の写真で埋まっていったテーブル

礼儀正しく頭を下げる彼に、反射的に会釈を返しました。そこから先、テーブルの話題は2人の旅行の写真へ移っていきました。スマホを回す友人と、思い出話を付け足す彼。並んで自撮りをする2人に、ほかの3人は苦笑いを浮かべながら、ちらちらと私のほうを見ていました。拍手をもらったときの浮き立つ気持ちは、もうどこにもありません。

彼が何か悪いことをしたわけではありません。友人の彼氏を、この場で帰らせる言い方も思いつきません。それでも、喉の奥まで言葉がせり上がってきました。

今日の主役は私じゃないの?

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