友達の家に泊まると嘘をついた私。母から届いた写真を見て、ファミレスの席を立った理由

コラム

身構えていた画面に届いたのは、言葉のない1枚の写真。そこに写っていたのは、出がけに私が頼んだあの料理でした。母がそれを作っていた意味を、すぐには飲み込めませんでした。

テーブルの上で、メロンソーダの氷がすっかり溶けていました。大学近くのファミレスの窓際で、留学のパンフレットを何度も開いては閉じる。友達の家に泊まると母に送ったものの、本当は行く当てなどありませんでした。

洗い物の音と、あの一言

出がけに「今日ハンバーグがいいな」と言うと、母は「はいはい」と返してくれました。その流れなら話せる気がして、ずっと言えなかったことを口にしました。

「交換留学に応募してみたいんだけど」

母は洗い物の手を止めないまま、「どうせまた途中でやめるんでしょ」と言いました。

ピアノも部活も、確かに途中でやめています。だからこそ、今回は申込書を書き上げてから話すつもりでした。かばんの中には、保護者の署名欄だけが空いた申込書が入っていたのです。

「もういい」とだけ言って家を出たあと、講義にはほとんど身が入りませんでした。

帰らない理由がほしかった

講義が終わっても、家に帰る気になれませんでした。帰れば、あの話の続きをするか、なかったことにするかのどちらか。どちらも選べないまま、大学近くのファミレスに入りました。

「帰らない」とだけ送れば、理由を聞かれる。そう思って打ったのが、「今日は友達の家に泊まる」でした。泊まる準備などしていないことは、自分が一番よく分かっていたのに。

本当のことを言えなかったのは、母に心配をかけたくなかったからではありません。もう一度あの口調で返されるのが、ただ怖かったのです。

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届いた1枚の写真
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