彼女を遠ざけたのは、1週間かけて書き直した俺の長い謝罪文でした

コラム

おじぎをしているスタンプは、何を送っても同じものが返ってきました。1週間かけて書きためた文面を送ったあと、彼女の返事を読んで気づいたことがあります。

会議室を出てスマホを裏返すと、彼女からの通知が7件たまっていました。エレベーターを待ちながら、上から順に目を通しました。最後の1件を読み終える前に、指はもう入力欄に文字を打っていました。

会議室で言われた言葉を、そのまま

その日は、提案資料の直しに1日追われていました。会議の終わりに、上司は資料をめくりながら「お前の資料、長いし重いんだよ」と言いました。机の上では、伏せたスマホが何度も震えていました。

読み進めた彼女の文面は、いつもと変わらないものでした。パスタの写真、「今度の映画、何時の回がいい?」、上着の心配。どれにも返せていない自分が、画面の下に積み重なっていくように思えたのです。

「お前のメッセージ、重いんだけど」

送ってから、「お前」と打ったことに気づきました。彼女をそう呼んだことは一度もありません。上司の口調が、そのまま指に残っていたのだと思います。

同じスタンプしか返ってこない1週間

駅へ歩いている間に届いたのは、おじぎをしているスタンプでした。その後には何も続きません。

次の日、何もなかったように「おつかれ」と送れば、いつもの返事が来る気がしていました。届いたのは、同じスタンプです。「今日も会議だった」にも、同じスタンプが返ってきました。

謝ろうとするたびに、書くことが増えていきました。忙しかったという説明は何度も書いて、何度も短くしています。映画の時間も一度は書いたものの、答えたら何もなかったことにするようで、最後に消しました。そうしているうちに、彼女とのトークにはおじぎのスタンプだけが並んでいきました。

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