
「妻には言うなよ」同期に話す夫の声を、私は玄関で聞いてしまいました
コラム
「人事部」と印字された封筒
数日後、ダイニングテーブルに夫の会社の茶封筒が置かれていました。隅には「人事部」の文字。中身は見ずに、夫の帰りを待ちました。
帰宅した夫は封筒を見つけると、すぐに鞄へしまいました。
「私に言えないことなの?」
「もう終わった話だから」
「仕事のこと?それとも、ほかに誰かいるの?」
夫は驚いた顔で私を見ました。
「違う。そういう話じゃない」
それなら、どうして教えてくれないのか。同期には話せるのに、妻の私には話せない。そのことが何より嫌でした。
そして...
夫が向かいの椅子に腰を下ろすのを待って、私は座り直しました。
「終わったかどうかは、私も一緒に聞きたかった」
夫は鞄を膝に抱えたまま、しばらくテーブルの木目を見ていました。やがて小さくうなずき、鞄の口に手を入れました。
責めたかったわけではありません。夫が1人で終わらせたのは、いったい何だったのか。同期には言えて、私には言えなかったその中身を、私はまだ知りませんでした。
(30代女性・商品企画)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)




























