
同期に口止めした俺→妻に「行きたかった」と打ち明けるまで
コラム
置き忘れた封筒の前で
数日後、出がけに封筒をテーブルへ置き忘れました。帰宅すると、妻がその前で待っていました。
慌てて鞄にしまうと、妻が聞きました。
「私に言えないことなの?」
「もう終わった話だから」
「仕事のこと?それとも、ほかに誰かいるの?」
思いもしなかった言葉でした。
「違う。そういう話じゃない」
隠し続けたせいで、妻にそんな疑いまで抱かせていたのです。
そして...
向かいの椅子に座ると、妻が言いました。
「終わったかどうかは、私も一緒に聞きたかった」
もう隠せませんでした。鞄から封筒を出し、転勤の打診と辞退したことを話しました。
「お前の仕事を辞めさせたくなかった。勝手に断ってごめん」
妻は書類を見つめてから聞きました。
「それで、あなたは行きたかったの?」
「行きたかった」
口にすると、ずっと隠していた本音がようやく出てきました。
「だったら、どうして相談してくれなかったの?」
「お前なら、ついていくって言うと思ったから」
妻は首を横に振りました。
「そう言ったかもしれない。でも、どうするかは2人で考えたかった」
俺は言い訳せずに、妻の話を聞きました。
「次は、決める前に言って」
妻はそう言って、封筒を俺の前に戻しました。
妻のために断ったつもりでした。でも本当は、妻と話し合う勇気がなかっただけなのかもしれません。
その封筒は今、夫婦の書類をまとめた引き出しに入っています。
(30代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)




























