新しく入った後輩は彼の元カノだった→挨拶の日、彼女は私の目を見て「あの人、元気ですか」

コラム

2人きりのエレベーターの前で

ほかに人はいませんでした。階数表示の数字は、まだ上の階で止まったままです。

この1週間、後輩に声をかける前には、いつも少しだけ間ができていました。仕事の説明なら迷わず話せるのに、名前を呼ぶ一瞬だけ、あの日の質問が先に浮かぶのです。

あの質問に、私はまだ答えていませんでした。かといって、こちらから何を聞けばいいのかも、決められずにいました。ノートに書き取られる手順は増えていくのに、2人のあいだで彼の話は一度も出ていません。

隣の彼女は鞄の持ち手を両手で握ったまま、私と同じように階数表示を見上げていました。

そして...

表示の数字が、1つずつこちらの階へ近づいてきます。到着音が鳴るまで、あと少し。今日も何も聞けないまま、また明日になるのだと思っていました。

そのとき、隣で小さく息を吸う音がしました。階数表示を見上げたまま、彼女が口を開きます。

別れた相手の近況を、どうして今の恋人である私に聞いたのか。あの日の彼女の目は、何を確かめようとしていたのか。その答えを、私はまだ知りませんでした。

(20代女性・営業事務)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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