
値下げの理由をあえて書かなかった僕が、値段が決まってからようやく送ったメッセージ
コラム
事情を全部書けば、きっと応じてもらえた。それでも値下げのお願いには何も添えなかった。値段が決まってから、ようやく送れたメッセージがある。
検索結果の一番上に、見覚えのある柄が表示されました。何度も同じ言葉で探してきた、もう作られていないマグカップ。値段を確かめてから、給料日までに使えるお金を頭の中で数え直しました。
割れたマグと、給料日までの残り
彼女のマグカップが割れたのは、1か月ほど前のことです。彼女の部屋で洗い物を引き受けた僕が、手を滑らせました。「形あるものだからね」と彼女は笑っていましたが、学生のころから使っていたものだと知っていました。
それ以来、フリマアプリで検索するのが癖になりました。
ようやく見つけた出品は3,000円。ほかより安く、元箱付き。ただ、彼女の誕生日は給料日より先でした。家賃を払い終えたあとの残りから、給料日まで通勤に使う分を除くと、出せるのは2,700円まで。
給料日を待てば、誕生日には間に合いません。この値段なら、すぐに誰かが買ってしまうはずです。かといって、彼女への贈り物のお金を誰かに借りるのも違う気がしました。
事情は書かないと決めていた
コメントを打つ前に、決めたことがあります。事情は書かない。断られたら、そこであきらめる。
彼女の誕生日、割れたマグ、給料日。全部書けば、応じてもらえる見込みは上がったはずです。でもそれは、出品者さんの優しさに値段を下げさせるようなもの。すでに安く出してくれている人に、断りにくい理由まで背負わせたくありませんでした。
「はじめまして。こちら、2,700円にしていただくことは可能でしょうか。」
送ったあとは、アプリを開いては閉じるばかり。届いた返信には「すでにお安くしているのですが」とあり、そのとおりだと思いました。それでも、応じてくれた。お礼だけを返して、すぐに購入しました。
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値段が決まってから、ようやく打てたこと




























