
彼女の親の前で、答えを半分で止めた俺→本当は先に言うべきことがありました
コラム
友人の結婚式の帰り道に、彼女がこぼした言葉をずっと覚えていました。そのつもりで用意してきた答えだったのに、改札で別れるまで、最後の一言だけは言えないままでした。
彼女のお父さんが湯のみを座卓に置いたとき、俺が言うつもりだったことはまだ続いていました。続けるはずだった言葉は、お母さんが立ち上がる気配に紛れていきました。その続きを口にできたのは、玄関の外に出てからです。
友人の結婚式の帰りに聞いたこと
付き合って3年になる彼女の実家へ、初めて挨拶に行った日のことです。
2年目の頃、共通の友人の結婚式の帰り道で、彼女が「結婚するかどうかは、2人で決めたい。誰かに聞かれて答えるんじゃなくて」と言ったことがありました。両家の親どうしで先に話が進んでいたと、披露宴の席で耳にしたあとのことです。笑ってうなずいただけでしたが、その言葉はずっと残っていました。
だから、親の前で先に「考えています」と答えるのは違うと思っていました。駅からの坂道で「お父さん、たぶん聞いてくると思う」と言われて「分かってる」と返せたのも、答えを用意してあったからです。
湯のみが置かれたところで止まった続き
お父さんが湯のみを持ったまま「それで、結婚は考えているのかな」と聞き、俺は箸を置いて「結婚は考えてません」と答えました。
用意していたのは、そのあとに「自分1人で決めることではないので、まず彼女と話したいです」と続ける答え。言い終えた瞬間、先に言うべきだったのは後ろの半分だと気づいたのです。
次を言おうとしたところで、お父さんが湯のみを座卓に置いて「そうか」と言い、お母さんが「お茶、入れ直すわね」と台所へ立ちました。続けるなら今だと分かっていたのに、お父さんの手元から目を上げられないまま、庭の柿の木の話にうなずくだけ。話が変わったことに、少しほっとしている自分もいました。
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背中に向けて言えた半分




























