
「あの人、元気ですか」元彼の恋人が教育係だと知った日、私が先輩の目を見てそう聞いた理由
コラム
言いそびれたことと、返ってきた答え
別れてから、彼に謝ったことは一度もありません。連絡先を消した私から連絡する資格はないと思っていましたし、恋人のいる人に今さら連絡するつもりもありませんでした。それでも、ひどい言い方で終わらせた相手がその後どうしているのかは、ずっと気になっていました。先輩の顔を見て出てきた質問は、その答えを知りたい気持ちがそのまま出たものでした。
先輩はそれからも、丁寧に仕事を教えてくれました。ただ、私に声をかける前に、少しだけ間があることにも気づいていました。
1週間が過ぎた退勤時、エレベーターの前で先輩と2人きりになりました。階数表示を見上げたまま、初日に言いそびれたことを口にしました。
「先に言っておきたかったんです。あとから知られるのは嫌だったので」
少しして、先輩が言いました。
「元気だよ。ちゃんと」
先輩のほうを向いて「よかったです」と返すと、思っていたより軽い声が出ました。到着音が鳴り、先に乗り込んで開くボタンを押しました。
そして...
翌週、ノートの手順の横に付箋を足しながら、先輩に教わった言い回しを覚え直しました。先輩があの日の答えを彼に伝えたのかどうかは、聞いていません。彼に謝る機会も、この先たぶんありません。
それでも、先輩の机に向かう前に、頭の中で言葉を用意し直すことはなくなりました。
(20代女性・事務職)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)




























