
先輩の前で「マッチングで会う女は軽い」と言った俺→彼女が席を外した数分間に取り消した一言
コラム
改札を通った彼女が、エスカレーターの手前で一度だけ振り返りました。俺は改札の外から、その背中が見えなくなるまで立っていました。手元に残ったのは、何がごめんなのかという彼女からの宿題です。答えを探すには、自分の言葉の出どころまでさかのぼる必要がありました。
先輩が昔から口にしてきた決まり文句
先輩とは大学のサークルからの付き合いです。誰かの恋愛話を面白がっては、決まって同じ言葉で締めくくる人でした。
「マッチングで会う女は軽い」
俺はそのたびに笑って、話を合わせてきました。反論して場が冷えるより、笑っているほうが楽だったからです。
彼女とはアプリで知り合いました。そのことを仲間に言えなかったのは、先輩の決まり文句が頭にあったから。彼女まで同じ目で見られるのが嫌で、話すきっかけを先延ばしにしていました。
何年も聞いてきた言葉が、口から出ていた
その日は、彼女を先輩と同期に紹介する飲み会でした。先輩がその場にいない後輩の恋愛話を終えて、ジョッキを俺のグラスに当ててきました。
「で、お前はどう思うよ」
先輩が待っている返事は分かっていました。枝豆の殻を皿の端に寄せているうちに、何年も聞いてきた言葉が口から出ていました。
「マッチングで会う女は軽い」
笑い声が上がったところで、自分が何を言ったのかに気づきました。隣を見ると、彼女と目が合いました。数秒の間訂正の言葉を探しても、出てきません。彼女はおしぼりを手に取り、畳み直し始めました。
「ちょっとお手洗い」
彼女が席を立っても、先輩はまだ笑っていました。
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彼女がいない席で言い直したこと




























