
先輩の前で「マッチングで会う女は軽い」と言った俺→彼女が席を外した数分間に取り消した一言
コラム
彼女がいない席で言い直したこと
彼女の背中が通路の角を曲がるのを見てから、グラスを置きました。
「俺たち、アプリで会ったんです」
先輩の笑い声が止まりました。同期は箸を持ったまま、俺と先輩の顔を順番に見ていました。俺は続けました。
「さっきのは、取り消させてください」
先輩はしばらくジョッキを見つめてから、「悪い、知らなかった」と言いました。
戻ってきた彼女に、先輩は真っ先に向き直りました。
「さっきは変な話して悪かったね」
頭を下げる先輩に、彼女が「いえ」とだけ返すのを、俺は自分のグラスを見つめながら聞いていました。先輩に言ったのと同じことを、隣の彼女にはどうしても伝えられませんでした。今さら取り消したと言っても、言い訳にしか聞こえない気がしたのです。
そして...
駅までの道、彼女の半歩後ろを歩きました。改札の手前でようやく出てきたのは、これだけです。
「さっきの、ごめん」
「何がごめんなのか、明日教えて」
彼女はそう言って、1人で改札を通っていきました。帰りの電車で、スマホのメモを開きました。先輩の決まり文句だった、と打ってから消しました。あの言葉を声に出したのは俺です。書き直した1行目は、そこから始めています。
明日、彼女が最後まで聞いてくれるかどうかは分かりません。メモを閉じる前に、1行目だけもう一度読み返しました。
(20代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)






























