「君のやり方は効率が悪い」と台所に口を出す夫。全部任せた3日間のあとに差し出された紙切れ

コラム

まな板の上で玉ねぎを刻んでいると、背中越しに夫の声が飛んできました。手元をのぞき込み、段取りに口を出すのは、いつからか夫の習慣になっていました。ただ、その日はいつもの一言だけでは終わりませんでした。

台所に立つたびに届く一言

夫が台所をのぞくようになったのは、半年ほど前からです。

「先に全部切っておけば早いのに」

「その鍋、さっきも洗ってなかった?」

悪気がないのは分かっていました。仕事で段取りを考えるのが癖になっている人なのです。最初のうちは、どうしてこの順番なのかを説明していました。けれど話すたびに「でも、効率で考えたらさ」と返されるうちに、説明しようという気持ちのほうが先にすり減っていきました。

その日も、煮立ち始めた鍋の横で玉ねぎを刻んでいたときのこと。振り返ると、夫は腕を組んだまま、はっきりと言いました。

「君のやり方は効率が悪い」

エプロンを差し出した日から

包丁をまな板に置き、コンロの火を弱めました。エプロンのひもをほどいて、夫の前に差し出します。

「じゃあ、今日から3日間全部任せるね」

夫は少し目を丸くしてから、エプロンを受け取りました。

「3日もあれば十分だよ」

その返事を背中で聞きながらリビングのソファに座り、読みかけの本を開きました。料理も買い出しも、洗い物も全部夫の担当。台所からは包丁の音や水の音が聞こえてきましたが、一度ものぞきませんでした。のぞけば、また何か言いたくなる気がしたからです。

2日目、さすがにソファから声をかけました。

「手伝おうか?」

「大丈夫」

返事は短く、夫は台所から出てきませんでした。

そして3日目。食べ終えた食器を流しに下げた夫が、小さく折った紙を手にしてテーブルへ戻ってきました。

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