外階段で何度挨拶しても目をそらす隣の男性→ある日、玄関のチャイムを鳴らした彼が差し出したもの

コラム

手のひらにのっていた、鈴のついた私の鍵

ドアを開けると、隣の男性は手のひらを差し出しました。そこにのっていたのは、小さな鈴のついた私の鍵でした。

「鍵、ささったままでしたよ」

さっき買い物袋を両手に提げたまま鍵を開け、抜かずに部屋へ入ってしまったのだと、そこでやっと気づきました。

「すみません、ありがとうございます」

私がそう言って鍵を受け取ると、鈴が小さく鳴りました。せっかく話せたのだからと、私は思い切って続けました。

「あの、いつも」

「気をつけて」

私の言葉が終わる前に、隣の男性はそう言って背を向け、隣のドアの向こうへ戻っていきました。玄関に立ったまま、手の中の鍵を何度か握り直しました。お礼はちゃんと伝わったのだろうか。それとも、余計なことを言いかけたせいで、かえって迷惑がられたのだろうか。

そして...

翌日、外階段で隣の男性と顔を合わせました。「こんにちは」と頭を下げると、男性はやはりちらりとこちらを見ただけで、階段を下りていきました。

あの鍵は、鈴をつけたまま玄関の棚に置きました。わざわざチャイムを鳴らしてまで鍵を届けてくれた人が、どうして挨拶だけは返してくれないのか。その理由が、私にはどうしても分かりませんでした。

(20代女性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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