「予定多すぎ」と私の手帳を見た彼→翌週、私の予定が3つ勝手にキャンセルされていました

コラム

「私の予定は、私が決める」。問い詰めた末に、私から出たのはその一言でした。空いた1日、彼は軍手を手に、行き先も告げずに出かけていきます。

スマホが鳴ったのは、手帳に次の頼まれごとを書き込んでいる最中でした。画面に出たのは、彼とも共通の友人の名前です。開いたメッセージには、私が一度も口にしていないことが書かれていました。

手帳を覗き込んだ彼

その1週間前のことです。

同棲して2年になる彼とは、大学のサークルで知り合いました。共通の友人も多く、何かあると声をかけられるのは決まって私のほうです。

引っ越しの手伝い、飲み会の幹事、彼の姉のフリーマーケットの店番。頼まれると、手帳のどこかに隙間を探してしまうのが私の癖でした。自分で申し込んだ陶芸教室の体験は、そのたびに後ろへずらし、もう2回書き直していました。

その日もリビングのテーブルで手帳を広げていると、ソファから立ち上がった彼が、後ろからページを覗き込みました。

「予定多すぎ」

「大丈夫、ちゃんと回せてるから」

ペンを動かしたまま答えると、彼はそれ以上何も言わず、台所へ麦茶を取りに行きました。

友人から届いたメッセージ

「引っ越しの手伝い、無理しなくて大丈夫だからね。彼から聞いたよ」

友人からのメッセージは、それだけでした。

キャンセルを頼んだ覚えはありません。サークルのグループチャットを開くと、見慣れたアイコンの投稿が一番下にありました。

「今回の幹事は俺がやります」

手帳の同じ週には、どちらの予定も私の字で書き込んであります。ペンのキャップを閉め、玄関の鍵が回る音を待ちました。

  • X
  • Line