「今度の飲み会、彼女さんも連れてきて」課長が彼女に謝りたかったわけと、俺が隠していた一通

コラム

飲み会で課長に声をかけられた彼女は、笑って頭を下げました。その夜、2次会の店で届いた彼女の質問に、俺は短い返事しか送れませんでした。

話は、その半月前にさかのぼります。課長とのチャットに、彼女へ送るはずだった謝罪の文面が並んでいました。取り消そうとした時には、もう既読がついていました。

宛先を間違えた一通

今月に入って、俺は彼女との約束を3回続けて残業でつぶしていました。3回目のその日、課長に「資料、今日中に仕上げます」と送り、同じ画面のまま彼女への文面を打ってしまったのです。

「ごめん、今日も無理になった。今月これで3回目だよね。ほんとにごめん」

課長からの返事は「宛先、間違えてない?」

俺が慌てて謝ると、少しして課長から次のメッセージが届きました。

「3回目は私のせいだね。今度の飲み会、彼女さんも連れてきて。ちゃんと謝りたいから」

彼女には改めて「ごめん、今日も無理になった」とだけ送りました。返ってきたのは、いつもの「大丈夫、仕事がんばって」。翌週から、課長は俺の担当を1つ別の人に回してくれました。

軽く言い換えた誘い

数日後、彼女を誘う文面は「会社の飲み会、彼女も連れてきていいって」。課長の言葉をそのまま伝えればよかったのに、宛先を間違えた話が恥ずかしくて、軽く言い換えていました。「なんで課長さんが?」と聞かれた時も、打ちかけた説明を消して「来たらわかるよ」とだけ返しました。

当日、乾杯のあとで課長が近づいてきて、彼女を見るなり言いました。

「あなたが、キャンセル続きの彼女さんね」

周りの何人かが振り向くなか、彼女は笑って頭を下げました。課長が「本当にごめんなさいね」と続けて別の席へ戻ったあとも、俺はジョッキの取っ手を握ったまま、テーブルから目を上げられずにいました。

課長が知っているのは、間違えて送った一通だけです。それでも課長のあの言い方では、俺が職場で愚痴をこぼしていたように聞こえてしまいます。

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