「お金で機嫌取るの?」と封筒を押し返された俺が、自分名義の新しい通帳に込めていた事情

コラム

新しく作った通帳の1ページ目には、給料日の日付と、最初に入金した金額が並んでいます。表紙の裏に貼ったメモを、彼女はまだ読んでいないはずでした。

友人の恋人が贈ったというバッグの写真を、彼女は楽しそうに見せてくれました。「いいなあ、こういうの」という声に、深い意味はなかったはずです。それなのに俺は、自分の給料明細を思い浮かべていました。

稼げる男という言葉

同い年の友人たちと比べて、俺の給料は多いほうではありません。付き合って1年、彼女に高い物を贈ったことも、ほとんどありませんでした。
「もっと稼げる男と付き合えば?」
言った瞬間に、まずいと思いました。それでも「そういう意味じゃない」と言う彼女にうまく謝れず、カップを持ったまま黙り込んでいたのです。
帰り道、同じバッグを買うにはどれだけかかるか計算して、すぐにやめました。俺にできるのは、別のことだと思ったからです。それから数日、彼女への返信が短くなったのは、何を書いても言い訳になる気がしたからでした。

銀行に寄った理由

付き合ってすぐの頃、彼女が言った言葉を覚えていました。
「いつか、ベランダの広い部屋に住みたいな」
そのとき俺は、2人で住めたらいいなと思っただけで、何もしていませんでした。
数日前、自分名義で新しい口座を作っていました。給料日、彼女には「仕事終わり、銀行寄ってから行く」とだけ送り、仕事帰りに銀行のATMへ。決めていた額を入金し、通帳に記帳しました。表紙の裏には、「2人で住む部屋のため。毎月の給料日に入れる」とメモを貼りました。通帳は、その約束ごと彼女に預けるつもりでした。
彼女の部屋に着くまで、通帳を入れた封筒を何度も鞄の上から確かめていたのです。

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押し返された封筒
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