
妻の陶芸を理解できないと笑った俺が、2週間後に布の包みに入れて工房へ持っていったもの
コラム
作品展で先生に返した言葉は、そのときの本音でした。けれど2週間後、俺は布の包みを抱えて、同じ先生に頭を下げに行くことになったのです。
白い壁に並んだ器を、俺はどれも同じように眺めていました。妻が6年通っている陶芸教室の作品展に、初めて顔を出したときのことです。先生に声をかけられ、俺は深く考えずに答えてしまいました。
深く考えずに返した言葉
「ご主人も一度、土に触ってみませんか」
妻の先生にそう言われ、俺は頭をかきながら笑いました。
「妻の趣味は理解できないんで」
本音でした。休みのたびに工房へ出かけ、爪を灰色にして帰ってくる妻を、不思議な気持ちで見ていたのです。
先生は「あら、残念」と笑ってくれました。
展示を見て回る間も、俺は仕事の連絡が気になってスマホを手放せずにいたのです。
給湯室で割れたカップ
作品展の数日後、会社の給湯室でカップを落としました。結婚5年目に妻が作ってくれた、深い青のカップです。
取っ手の付け根から、3つに割れていました。接着剤でつなぐだけでは、元の形に戻せる気がしませんでした。
破片を拾い集めたとき、底に彫られた小さな日付が目に入りました。これを作るのに妻が何回工房へ通ったのか、俺は一度も聞いたことがなかったのです。
同じようなカップを買って、黙って置き換えることも考えました。けれど、工房の入り口に金継ぎの案内が貼ってあったのを思い出し、電話をかけたのです。
先生は、破片を持って来られる日を教えてくれました。
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布の包みを抱えて向かった工房


























