「お金で機嫌取るの?」と封筒を押し返された俺が、自分名義の新しい通帳に込めていた事情

コラム

押し返された封筒

彼女の部屋で、上着も脱がずにテーブルの前に座りました。いつもなら真っ先に冷蔵庫を開ける部屋なのに、この日は鞄を膝から下ろす余裕もありませんでした。
鞄から封筒を取り出し、彼女のほうへ滑らせたのです。
「これ、受け取ってほしい」
「お金で機嫌取るの?」と押し返されたとき、少し厚みのある封筒が現金に見えたのだと気づきました。
「そういうんじゃない」
説明しようとしても、口に出すと格好をつけているようで、言葉が続きません。封筒をテーブルの真ん中に戻し、「今日は帰る」とだけ言って部屋を出ました。

そして...

駅まで歩きながら、「開けるのは、気が向いたときでいい」と送りました。電車の中では、封を切った彼女の顔を想像しては、窓の外に目を移していたのです。
彼女がいつ封を切るのかは分かりません。開けたとしても、あの日の言葉を許してもらえるかは別の話でした。
もっと稼げる男には、まだなれていません。それでも給料日のたびに、あの口座の残高は少しずつ増えていくはずでした。

(20代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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