言った直後に「ごめん、今のなし」と送った俺が、3ヶ月かけて用意していたもの

カップル

既読の表示を見て、俺は取り消す指を引っ込めました。消したところで、読まれた事実は変わらない。だったら、次に同じ言葉を渡すときの形を変えるしかありませんでした。

送った直後の自分のメッセージを、俺は上から何度も読み返していました。

打ってしまった言葉

付き合って2年、離れて暮らす彼女とのやりとりは、俺にとって毎日の区切りのようなものでした。その日の彼女の返信があまりに可愛くて、気づいたときには「結婚しよう」と送っていたのです。指輪もない。両親への挨拶も、住む場所の話も、何一つ考えていない。取り消しの操作に指を伸ばしかけて、画面の表示に気づきました。もう既読がついていたのです。消しても、読まれたあとでは意味がない。むしろ、なかったことに見せかけるほうが失礼だと思いました。それで俺は「ごめん、今のなし」と送りました。

短い返事のあとで

彼女からの返事は「わかった」だけでした。画面の向こうで彼女がどう受け取ったのか、俺には確かめようがありません。呆れられたのだろうか。それとも、軽い男だと思われたのだろうか。会う日はいつも通りに続きましたが、俺からその話を出す資格はない気がして、言えないまま帰る日が重なりました。その間、俺は動いていました。指輪を見に行き、貯金の残高を確かめ、彼女の親に何を話すかを紙に書き出しました。

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