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教え子の絵日記に描かれていたのは、かつての自分が一番欲しかったもの

コラム

あの絵に描かれていたもの

「先生、これを見てください」。お母さんが取り出した絵日記を開くと、大きな太陽の下で、お母さんと手をつないで笑っている男の子の絵。

「きょうもママとごはんをたべた。ぼくのいちばんすきなじかん」

それを読んで、ようやく気づいたのです。私が寂しかったのは、母がいなかったからじゃない。母と過ごす時間に「幸せだ」と感じられなかったから寂しかったのだと。

あの子は違う。あの子の世界には、ちゃんと太陽がある。私はそれを「可哀想」という言葉で踏みにじるところでした。

そして...

絵日記を抱えて帰るお母さんの背中を、職員室の窓からずっと見ていました。傷つけたのはあのお母さんだけではありません。あの子を「かつての自分」に重ねることで、あの子自身の幸せを否定していました。それは教師として、一番やってはいけないことです。

翌日、あの子がまた休み時間に絵を描いていました。そっと覗き込むと、青い空の下にたくさんの人が並んでいます。「これ誰?」と聞くと、あの子は笑って「クラスのみんな」と答えました。ひとりで絵を描いていたのは、寂しかったからじゃなかった。描きたいものがたくさんあっただけでした。

寂しかったのは、ずっと私のほうだったのです。明日、あのお母さんに謝りに行こうと思いました。

(30代女性・教師)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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