
「この服どっちがいい?」に「右」「左は嫌」しか返さない彼の、不器用な本心が見えた話
コラム
思い切って伝えた本音
次に会った日、私は思い切って伝えました。「もっとちゃんと感想を言ってほしい」。彼は考え込むような顔をした後、しばらく黙ってから口を開きました。
「言葉にするのが苦手なんだ」。意外な答えでした。学生時代から作文も読書感想文も苦手で、頭の中にある気持ちを文字にするとどうしても短くなってしまうのだと、彼はぽつぽつと話してくれました。
「右がいいと思ったのは本当だよ。色も形もきみに合うと思ったから」。「左は嫌」は、ただ消去法で出てきた言葉だったと知って、私はようやく彼の不器用さの正体に気づいたのです。
そして…
言葉数の多さが、そのまま愛情の量ではないということを、私はそれまで気づけていませんでした。たくさん感想を言ってくれる人がうらやましかったけれど、彼には彼のやり方があったのです。
それからは、聞き方を少し変えてみました。「どこがいいと思った?」「色?形?」と具体的に尋ねると、彼は時間をかけてでも答えてくれるようになりました。返ってくる言葉は今も多くありませんが、ひとつひとつが彼なりに考え抜いた言葉なのだと思うと、ひとことの「右」も、少しだけあたたかく見えてくるのです。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)


























