
「遠くなるの?」「近くなる」と続いた一週間に振り回された僕が、最後に照れた話
コラム
駅で渡されたメモの住所
住所は、当日になって駅で初めて教えてもらえました。
改札を出て僕を見つけた彼女が、住所の書かれたメモを差し出しました。受け取って確認してみると、僕の家から歩いて10分の場所でした。何度も見返してしまいました。これまで電車で1時間かけて会っていた相手が、これからは徒歩10分の距離にいる。何を言えばいいのか、すぐには思いつきませんでした。
何か気の利いた一言を返したかったのに、口から出たのは「近所だ」というそれだけの感想で、自分でも情けなくなりました。彼女の顔をまっすぐ見られなかったのは、たぶん、嬉しかったからだと思います。
そして...
あの夜、彼女が「秘密」とだけ返してきた一週間。仕事中も寝る前も、引っ越し先のことばかり考えていました。遠くに行くのか、近くなるとは言っても都内のどこなのか。彼女に振り回された一週間は、思い返すと、それまでで一番彼女のことを考えていた一週間でもありました。
引っ越し以来、平日の夜でも一緒に夕食をとれるようになりました。あの日、彼女がメッセージで一気に種明かしせずに焦らしてくれたこと。今思えば、あれは彼女なりの素敵な伝え方だったのだと思います。
(20代男性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)

























