
結婚式の延期を切り出した俺が、彼女に言えないまま通い続けた場所
コラム
帰宅した俺を待っていたもの
それからも、どら焼きの紙袋を提げて通いました。お義父さんは仏頂面のまま、それでも玄関先から居間へ通してくれるようになり、帰り際にお義母さんが「そろそろ本人に伝えたら」と笑った日がありました。その日、家に帰ると、彼女が1枚の写真を差し出しました。実家の玄関先で深く腰を折る、俺の後ろ姿でした。「お父さんのところに通ってたの?」。答えるまでに、少し間が空きました。うなずいてから、ようやく言えました。「お義父さんに心から笑って出席してほしいんだ」。挨拶の日からの全部を、俺はその場で初めて彼女に話しました。
そして...
式は3か月後になりました。当日、お義父さんは式場の入口で「娘を頼む」と俺に頭を下げました。今も月に1度、あの和菓子屋のどら焼きを提げて実家に顔を出しています。空いたままだったあの席が埋まった日のことを、忘れないためです。
(20代男性・営業職)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)


























