
「お前の服、ダサいから捨てたわ」と彼がテレビを見たまま言った日、私は空の収集所に立っていました
コラム
収集所のネットの下には何も残っていませんでした。母から渡されたデニムと、型紙から縫った1着。彼が差し出した紙袋の中身は、私が一度も足を止めたことのない店の服でした。
実家から戻ってクローゼットを開けると、ハンガーの半分が空になっていました。同棲して2年になる彼は、リビングのテレビの前でお菓子を食べています。聞くより先に、私は空のハンガーを1本ずつ数えていました。
テレビを見たままの一言
「ねえ、ここにあった服は?」寝室からリビングに出て聞くと、彼は画面から目を離さずに答えました。
「お前の服、ダサいから捨てたわ」
笑いながらでした。冷蔵庫の横に、見慣れない紙袋が置いてあります。クローゼットに残っていたのは、去年買った通勤用のブラウスと、彼と選んだコートだけです。色の落ちたデニムジャケットと、袖の形が少し歪んだワンピースがありません。
「あのデニム、お母さんのだったんだよ」
「知らないって。そんなの言われてないし」
「ワンピースも。あれ、私が縫ったの」
「……古いやつしか捨ててないよ」
彼はそこで初めてリモコンを置きました。私は寝室に戻り、それからサンダルのまま玄関を出ました。
空になった収集所
マンションの収集所まで走りましたが、ネットの下には何もなく、回収日の札だけが風でめくれていました。前日が収集日だったことは、部屋に戻ってカレンダーを見て思い出しました。
デニムは、母が私くらいの年に着ていたものです。1人暮らしを始める日に、母が玄関で「寒かったら着なさい」と渡してくれました。ワンピースは、服の専門学校に通っていたころ、初めて型紙から自分で縫った1着です。就職を選んで学校を離れたあとも、あの1着だけは手放せませんでした。
壁越しにテレビの音が続いていました。私はその日、寝室の椅子に座ったまま、扉を閉めていました。
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紙袋の中身



























