引っ越しの荷物から出てきた古い傘が、元カノへの最後のメッセージになった理由

コラム

打ちかけて消した3行

すぐに問いが返ってきました。「傘の子と私、どっちと付き合ってたの」。俺は入力欄に、来月この街を離れることを打ち始めました。転勤のこと、言い出せずに会う回数を減らしたこと、別れたのは彼女のせいではないこと。3行ほど打ったところで、全部消しました。それを今伝えても、彼女に背負わせるものが増えるだけだと思ったからです。代わりに打ったのは1行でした。

「お前だよ。それだけは間違えてない」

校門の傘の子が誰だったのかは、もう思い出せません。けれど2本の傘を提げて改札に立っていた日々の相手は、間違いなく彼女でした。

そして…

返事は来ませんでした。既読だけが付いて、それきりです。傘は結局、段ボールに戻さず、部屋の隅に立てかけたまま引っ越しの日を迎えました。新しい街の天気予報を見るたび、俺は今も2本目の傘を探しそうになります。持ち主のいない傘を、初恋だと思い込んでいた。そう気づかせてくれたのが彼女で、よかったと思っています。

(20代男性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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