妻に送れなかった2行目と、動画を止めながら作った生姜焼き

コラム

冷蔵庫のドアを開けると、奥にしょうゆとマヨネーズが並んでいるだけでした。写真を1枚撮り、見たままの内容を添えて送信。2行目を打っている途中で、妻からの返信が届きました。

1行目だけが先に届いてしまった

結婚して2年。会社から有給休暇を消化するよう言われ、その日は1人で日帰り温泉に出かけていました。妻に送ったのは、のれんの写真を1枚だけ。決算の準備で残業続きの妻を置いて自分だけ休んでいることが、湯船の中でもずっと気になっていました。

帰宅して冷蔵庫を開けたのは、せめて買い出しくらいは済ませておこうと思ったからです。ただ、普段妻が何を買っているのかが分かりません。

俺には、メッセージを短く区切って送る癖があります。写真に「冷蔵庫に何もない」と添え、続けて「何買ってくればいい?」と打っていたところでした。

「こっちはまだ会社なんだけど」

「たまには2人分の夕飯作って」

打ちかけの2行目は、そのまま全部消しました。1行目だけを読めば、催促に見えても仕方がない。そう気づいたのは、送ってしまった後です。

「わかった」と送ったあとで

何を書き足しても、休んでいた側の言い訳にしか聞こえない気がしました。結局送ったのは、「わかった」だけ。

レシピ動画を探し、作れそうな生姜焼きに決めて近所のスーパーへ。豚肉や玉ねぎ、みそ汁用の豆腐をかごに入れたあと、売り場を一周しました。

いつもの冷蔵庫に何が入っていたか、思い出せたのは卵と牛乳、納豆くらいです。妻はこれを毎回1人で選び、坂の上まで運んでいた。かごの重さで、ようやくそれが分かった気がしました。

帰宅してからは、動画を何度も止めながら生姜焼きを作りました。玉ねぎの大きさはそろわず、フライパンも一度焦がしかけました。

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