
サークルの同窓会で、俺が本心と逆の冗談を彼女に言ってしまった理由
コラム
冗談じゃん、と笑ってごまかした言葉は、本心とは反対でした。駅のホームで彼女に謝ったあとも、あの言葉を選んだきっかけだけは言い出せませんでした。
ドリンクを取りに立った居酒屋のカウンターで、同期が座敷のほうをあごで指しました。大学の旅行サークルの同窓会に、彼女と並んで参加した日のことです。その時に聞いた言葉が、帰るまで頭から離れませんでした。
カウンターで聞いた同期の言葉
彼女とはサークルで知り合い、付き合って3年。同期の視線の先では、彼女が口元を手で覆って笑っていました。
「あいつ、笑うとかわいいよな」
同期は軽い調子でそう言い、グラスを持って座敷へ戻っていきました。同じことを、彼女本人には一度も言ったことがありません。サークル時代の俺は、人をいじって笑いを取る役回りでした。照れくさい言葉ほど、冗談に変えて口にしてきたのです。
昔の調子で口から出た冗談
座敷に戻ると、合宿の思い出話で盛り上がっていました。同期の1人が道に迷った話を持ち出し、全員が声を上げて笑う中、隣の彼女も口元を押さえて笑っていました。カウンターにいた同期がその彼女を見ているのに気づいた瞬間、昔の調子のまま口が動いていたのです。
「お前は笑うと不細工」
え?と聞き返されて、慌てて付け足しました。
「冗談じゃん」
俺が笑うと周りも笑い、話はそのまま次へ流れていきました。彼女の手は、口元から離れないままでした。
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頭を下げたあとに言えなかったこと



























