彼女に「これは俺の優しさ」を10回数えられた日。笑いながら送っていた俺が気づかなかったこと

コラム

彼女から届いた「数えてたんだけど、これで10回目」。チャットをさかのぼると、俺の一言のあとには短い「ありがとう」が並んでいました。笑って打っていたことは、どこにも残っていません。

寒がっていた彼女の肩に、自分の上着をかけました。「寒いでしょ。これ着なよ。これは俺の優しさね」と得意げな顔をすると、彼女は「はいはい、ありがとう」と笑ってくれました。付き合い始めた頃の、照れ隠しの冗談です。

笑ってくれるのがうれしかった

その反応がうれしくて、何度か同じ言葉を使いました。

買い物中、彼女が選んだ服を見て「そっちより、この色のほうが似合うんじゃない?」と言ったこともあります。

「これは俺の優しさだからね」

真面目な顔を作ってから笑うと、彼女は「余計なお世話!」と言い返し、結局気に入った服を買っていました。

だからこの冗談は、彼女にも伝わっていると思っていたのです。

文字になっても、同じ冗談のつもりだった

お互い仕事が忙しくなり、会えない日のやり取りが増えた頃。彼女から、友人の誕生日用に焼いたケーキの写真が届きました。

「いちごの置き方、ちょっと雑じゃない?もう少しきれいに並べたら?これは俺の優しさ」

送信するとき、少し笑っていました。返ってきた「ありがとう」に、冗談が伝わったと思い込んでいました。

「その色、あんまり似合ってないと思う。前の服のほうがよかったよ。これは俺の優しさ」

新しい服の写真への返事も、会っていたら言い返されていたはずの軽いからかいです。届いたのは「ありがとう。参考にするね」。

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