
2駅先の部屋から黙って引っ越していた親友→責める文を打ちかけた私に届いたのは、2人だけの合図のスタンプでした
コラム
玄関で受け取った段ボールには、見覚えのある自分の字の伝票が貼られていました。親友の誕生日に合わせて送った、プレゼントの箱です。伝票の横には、お届け先に該当者がいないという印。宛先は、何度も書いてきたあの子の部屋の住所で間違いありませんでした。
戻ってきた誕生日プレゼント
親友とは高校からの付き合いです。1年前、転職でこの街に越してきてからは、電車で2駅の距離に住んでいました。「近くにいてくれて心強いよ」と何度も口にする私に、あの子はいつも笑ってうなずいてくれていたのです。
最後のやりとりは、私が送った「仕事落ち着いたら、駅前のカフェ行こうね」に、「うん、行こう」と返ってきたもの。繁忙期が明けたら、その約束を果たすつもりでした。
箱を床に置いたまま、メッセージを打ちます。
「誕生日プレゼント送ったら戻ってきちゃった。住所、変わった?」
既読はすぐにつきました。それなのに、返事が来ない。テーブルに伏せたスマホを何度も表に返しては、通知のない画面を確かめていました。
打ちかけた長い文面
しばらくして届いたのは、短い返事でした。
「うん。引っ越したんだ」
いつ、どこへ、なぜ。何も書かれていません。2駅先の部屋はもう空っぽで、それを宅配の伝票で知ったことになります。高校から10年以上一緒にいて、その程度の相手だったのか。そう思った途端、指が勝手に動いていました。
「なんで黙ってたの?私には言う必要なかったってこと?」
そこで止まらず、言われなかった理由を自分で並べはじめます。頼りすぎていたから。近くにいてほしいと言いすぎたから。打つほどに文面は長くなり、送信ボタンに親指をかけた、そのときでした。
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傘をさしたクマ




























