
夫がコーヒーを注いだ青いマグカップ→取っ手の欠けは、結婚前に私が捨てたカップと同じでした
コラム
「会社でずっと使ってた」。問いかけに返ってきたのは、それだけでした。4年前に夫が口にした言葉を思い出しながら、私は食器棚の前でカップの置き場所に迷っていました。
夫が、紙袋から出したばかりの青いマグカップにコーヒーを注いでいました。会社の席が自由席に変わり、机の私物をまとめて持ち帰ってきたのです。その取っ手の付け根に、見覚えのある欠けがありました。
あの日、不燃ごみの袋に入れたもの
4年前、結婚を控えて1人暮らしの部屋を引き払ったときのことです。荷造りを始めた頃、洗い物の途中でシンクの縁にぶつけ、取っ手の付け根が小さく欠けてしまいました。社会人になった年から使ってきた、薄い青のマグカップです。
食器を新聞紙で包みながら、そのカップだけを不燃ごみの袋へ入れました。隣で段ボールを組み立てていた夫が、作りかけの箱を脇に置いて袋をのぞき込みました。
「まだ使えるのに」
「欠けてるし、もういいの」
夫はそれ以上何も言わず、テープを取りに立ちました。袋の口を縛り、足りない段ボールをもらいに近所のスーパーへ。その袋は引っ越しの前日、自分の手で集積所まで運んだはずでした。
欠け方まで同じでした
夫がカップを持ち上げると、取っ手の付け根がこちらを向きました。小さく三角に欠けた跡は、あの日シンクでつけたものと同じ形です。どこにでも売っている商品なら、同じカップはいくらでもあるでしょう。けれど、欠け方まで同じものが2つあるとは思えませんでした。
「これ、私が捨てたやつだよね」
夫はカップを両手で包むように持ち直し、少し間を置いてから答えました。
「会社でずっと使ってた」
それだけ言って、コーヒーを飲み干しました。時計を見て立ち上がると、流しでカップをすすぎ、水切りかごに伏せて出かけていきました。
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4年前の言葉の意味




























