
友人に言えない秘密のために集合時間をずらし続けた私が、あの日だけ時間通りに現れた理由
コラム
缶コーヒーは、待つための口実だった
当日は、約束の時間の30分も前に駅に到着してしまいました。手持ち無沙汰で落ち着かず、自販機で買った缶コーヒーを未開封のまま手に持って、柱の陰で待つことにしました。
友人が改札から姿を現したのは、約束の10分前のことです。
「今日は時間どおりだね」
「うん。今日は、ちゃんと来たかったから」
私は本当の気持ちを半分だけ口にしました。すぐに歩き出したのは、それ以上追及される前に話題を変えたかったからです。
公園のベンチでは、夏に行く海の話になりました。私はうなずきながら缶コーヒーを飲み干し、飲み終えた缶をそっと手の中でつぶしました。友人はそれ以上、遅刻の理由を聞いてはきませんでした。
改札の前まで戻ってきたとき、私は振り返って素直に謝りました。
「ごめんね、いつも時間をずらしてもらってばかりで」
「今度から、ちゃんと行ける時間を最初に言うね」
レッスンの予約枠を先に確保してから集合時間を決めれば、もう嘘をついて時間を変更してもらう必要もありません。友人は理由を聞くこともなく、そのままうなずいてくれました。
そして...
翌週のレッスン予約は、友人との集合時間より早い時間枠に入れました。駅には相変わらず、友人よりも先に到着しています。
水泳教室に通っていることは、今もまだ彼女には打ち明けていません。海へ行く日まで、あと2か月。本当のことを話すなら、その海の砂浜でと決めています。
(20代女性・販売員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)



























