「お前のせいで別れることになったんだけど」元カノに送った俺が、彼女についていた嘘

コラム

画面を見た彼女が最初に聞いてきたのは、名前のことではなく料金のことでした。うなずいた俺の前で、彼女は上着を手に取りました。

彼女が見たがっていた映画を流そうと、テレビをつけたのが始まりでした。リモコンを持った彼女が、プロフィールの選択画面のまま操作をやめました。並んだアイコンの1つに、見覚えのない長い名前がついていました。

「俺のアカウントだから、好きに見ていいよ」

半年前に別れた元カノが契約しているサブスクを、付き合っていた頃は2人で使っていました。別れたあとも、俺のスマホとテレビはログインしたまま。何も言われないのをいいことに、新作のアニメも映画も見続けていました。

新しい彼女ができて家に呼ぶようになった頃、テレビを見ながらこう言いました。

「俺のアカウントだから、好きに見ていいよ」

うさぎのアイコンを選んだのは彼女で、うさちゃんと名前をつけたのは俺です。料金のことを聞かれたことはなく、自分から話すこともありませんでした。少し格好をつけたかっただけで、ばれるとは考えてもいなかったのです。

選択画面に残されていた伝言

長い名前は、元カノのプロフィールでした。

「その男、元カノのサブスクにただ乗りしてるよ。元カノより」

読み終えた彼女が、こちらを振り向きました。

「ねえ、これ、あなたが払ってるんじゃなかったの?」

「いや、前に一緒に使ってたやつで、そのまま」

「じゃあ、私が見てたのも元カノさんのお金ってこと?」

うなずくしかありませんでした。彼女はしばらく画面を見てから、上着を手に取りました。

「ちょっと、1人で考えたい」

玄関のドアが閉まる音を聞きながら、スマホでアプリを開き、同じ選択画面のスクリーンショットを撮りました。元カノのプロフィール、俺のプロフィール、うさちゃん。半年ぶりに元カノとのチャット画面を開き、その画像を送りました。

「おい、なんだよこれ」

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