
財布とスマホしか入らないバッグで出かけ、友人に荷物を預け続けた私。同じ一言を返された日に抱えたもの
コラム
小さなバッグに入らなかったもの
その日、友人のバッグは私のものよりもさらに小さくなっていました。ハンドクリームを入れようとしても隙間はなく、代わりにモバイルバッテリーを差し出されました。
「そっちのバッグ大きいから入れてよ」
何年も聞いていなかった言葉を、今度は自分が言われていました。
財布とスマホの間に押し込もうとしても、バッテリーは入りません。手に持つしかありませんでした。そこへさらにハンドクリームと傘。カフェで膝の上に荷物を積み上げながら、修学旅行の電車で箱を抱えていた昔の自分を思い出しました。友人は毎回、この重さと不便さを黙って引き受けてくれていたのだと、ようやく気づいたのです。小さなバッグを使うことと、入りきらない荷物を友人に持たせることは、まったく別の話でした。私はそこを一緒にしていました。
会計のたびに荷物を下ろしては、自分の肩にかかる小さなバッグを見つめていました。「今日はもう帰るね」とバッテリーを返し、早々に改札を通りました。
そして...
次に出かけた日、改札で友人に会うなり、「この前の手帳、本当にごめん」と深く頭を下げました。
持ってきたバッグは、相変わらず財布とスマホしか入らないいつものものです。大きなバッグを持つ決心は、まだつきません。その代わり、買った紙袋は最後まで自分の手でしっかりと提げて歩きました。
小さなバッグを選び続ける理由は、まだ友人に話していません。話したところで、友人のバッグを勝手に開けてきたことが帳消しになるわけではないからです。
今日も紙袋の持ち手を自分の指にかけて、友人の隣を歩いています。
(20代女性・販売職)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)



























