
友人の恋人は、兄が3年前に別れた人でした。彼女が席を立ったすきに俺が打ち明けたこと
コラム
改札の前で下げた頭
席に戻った彼女は、グラスを持ち上げては、口をつけずに置き直していました。友人は何もなかったように店員さんを呼び、次の注文を伝えます。
彼女に話しかけるきっかけをつくれないまま店を出て、2人の少し後ろを歩きました。改札の前で、彼女に向き直ります。
「今日は、ありがとうございました」
知らないふりに付き合ってくれたお礼と、兄の代わりに謝りたい気持ち。どちらもそのまま口にできる言葉ではなく、一言に込めて深く頭を下げました。彼女が同じだけ頭を下げてくれたのを見てから、改札を通りました。
そして...
帰りの電車で、兄とのトーク画面を開きました。「今日、あの人に会った」と打ちかけて、送らずに消します。兄に伝えれば、彼女の今の暮らしに兄の話を持ち込むことになる気がしたのです。
代わりに友人へ「無事に帰れた?」と送りました。しばらくして届いた返信は、「うん」だけ。
2人の帰り道に何があったのかは分かりません。彼女が自分から話したのか、友人が約束を守ってくれたのか。最寄り駅に着くまで、その返信が表示された画面を閉じられずにいました。
(20代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)





























