「最近どうしたの?なんか優しい」と聞かれた俺が、「お前は練習台」と返した本当のわけ

コラム

彼女に送り続けた「ありがとう」付きのメッセージ。理由を聞かれた俺は、いちばん選んではいけない言葉を返してしまいました。

段ボールを開けると、野菜の隙間に母の字で「ちゃんと食べてる?」と書かれたメモが挟まっていました。実家から荷物が届くたび、俺は「届いた」とだけ返してきました。その母が、もうすぐ60歳を迎えるところでした。

「誕生日おめでとう」から先が打てない

誕生日のメッセージを作ろうとしても、「誕生日おめでとう」から先が続きませんでした。6年間作ってくれた弁当のこと、部活の迎えに車を出してくれたこと。言いたいことはあるのに、文にすると照れくさくて消してしまっていたのです。

考えてみれば、付き合って1年の彼女にも「了解」か「おつ」しか送ったことがありませんでした。そこで思いついたのが、先に彼女で練習する方法でした。

「雨なのに傘こっちに寄せて、駅まで送ってくれたよね。ありがとう」

打ちながら、これが練習のためだけの文ではないことは分かっていました。ずっと言えずにいたことも、練習という理由があれば送れたのです。

打っては消した、本当の返事

2週間ほど続けたころ、彼女から「最近どうしたの?なんか優しい」と届きました。

「ずっと言いたかった」と打っては消し、結局送ったのは「バレた?」と「お前は練習台」、それに親指を立てたスタンプでした。本当のことを書けば、母への誕生日メッセージのために練習していたことも、彼女に送った文が本気だったことも、まとめて打ち明けることになる。その照れくささに負けたのです。

「練習台って何?」と届いても、「そのうち話す」と送るのがやっと。次の日からはメッセージを「おつ」に戻し、彼女からの返信も「おつかれ」だけになりました。

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