
「今なにしてる?」を15回目の既読スルーにした俺が、文具店の棚の前でうさぎを探していたわけ
コラム
「今なにしてる?」文具店の棚の前でその通知を見た俺は、返事を打たずにスマホをしまいました。ガラス戸の向こうに彼女がいるとは、知らないまま。
白いうさぎが首をかしげたスタンプが、また画面に届きました。付き合って5か月になる彼女から、これで何回目だろうと指を折って数えました。返したい気持ちはあるのに、俺にはそのうさぎを送り返す方法がありませんでした。
返せなかったうさぎ
「このうさぎ可愛くない?」
彼女が初めてそのうさぎを送ってきたとき、俺は同じスタンプで返そうと思いました。ところが調べてみると、雑貨ブランドが配っていた無料のスタンプで、配布期間はもう終わっていたのです。
スタンプなんて、ほとんど使ったことがありません。ほかのうさぎで返すのは違う気がしますし、「可愛いね」と打つだけでは味気ないと思いました。
迷っているうちに、返事をしないまま次の話題に流れていきました。
その代わり、うさぎが届くたびに、スマホのメモに一行ずつ書きためていきました。彼女に言いたかったことを、うさぎ1匹につき一行ずつ。
14回分の答えを探して
そのあとも、うさぎは届き続けました。「おはよう」のうさぎ、「おつかれさま」のうさぎ。メモの行は、14行になりました。
ある日、ブランドのサイトで、同じうさぎの便箋が文具店で売られているのを見つけました。来月は付き合って半年です。その日に、このメモを便箋に書き写して渡そう。そう決めました。
ところが人気の柄らしく、近くの店はどこも売り切れでした。文具店に入ったこともなかった俺が、週末のたびに店を回ることになりました。
彼女からのうさぎが届かなくなったことには、気づいていました。けれど理由を聞けば、手紙のことを話してしまいそうで、俺は聞けずにいたのです。
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棚の前で届いた通知


























