
「着いた?」を3時間読めなかった俺、彼女の家からの帰り道の坂で起きていたこと
コラム
3時間後の一斉既読
家に着いて、急いでパソコンを開きました。メッセージアプリにログインできたのは、彼女の部屋を出てから3時間ほど経ったころです。
画面には、未読のメッセージが並んでいました。
「着いた?」
「大丈夫?」
「連絡ください」
1つ読むたびに、彼女がどんな思いで送ってきたのかが伝わってきました。
「ごめん、スマホが壊れた。俺は大丈夫。明日、説明させて」
人を助けた話を文章にすると、言い訳がましく見える気がしました。だから、彼女が一番知りたいはずの「大丈夫」だけは、はっきり書きました。
そして...
翌日、俺は先にカフェに着き、壊れたスマホをテーブルに置いてコーヒーを頼みました。
やってきた彼女は、俺の手を見るなり「その手、どうしたの」と声を上げました。
「話すと長くなるんだけど」
坂の上の自転車の話をすると、彼女はしばらく何も言わず、「先にそれを書いてよ」と俺の手を軽く叩きました。そのあと、紙ナプキンに自分の番号を書いて渡してくれました。
あの夜、俺が最初に「着いた」のは、自分の家ではなく男の子の家の玄関でした。
(20代男性・公務員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)



























