「スマホの通知、すごい数だったね。大丈夫?」と届いた俺が、ごまかすのをやめた128件の未読

コラム

「私、送りすぎてたかな。ごめんね」。彼女にそう送らせたのは自分だと分かっていても、俺は本当のことを書けませんでした。

シャワーから出ると、テーブルの上でスマホがまた光っていました。付き合って8か月の彼女は、ソファで雑誌をめくっています。俺は画面を見ないまま、スマホをポケットに入れました。

引き継いだ取引先

2か月前、同じ部署の先輩が急に辞め、担当していた取引先がまるごと俺に回ってきました。

それからは、問い合わせや確認の連絡がひっきりなしに届きます。休日も通知は止まらず、未読は増えるばかりでした。上司に相談すればいいと分かっていても、「できません」と言うのがどうしても苦手です。頼まれたことは自分で片づけるものだと、ずっと思ってきました。

彼女が部屋に来たその日も、シャワーの間に通知は増え続けていました。確かめる気力もなく、ポケットにしまうのが精一杯だったのです。

後回しになった返事

「駅前のパスタ屋さん、今度行ってみない?」が届いた日、俺は昼休みにその店へ電話して、来月の週末の席を予約しました。仕事が落ち着いたら驚かせるつもりで、ようやく返せたのは数時間後の「了解」だけです。

しばらくすると、彼女から届くメッセージが1日2通に減り、文面もやけに丁寧になりました。

そこへ届いたのが「私、送りすぎてたかな。ごめんね」です。謝らせてしまったことが情けなくなりました。けれど、仕事が回らないと書けば心配をかける。

迷った末に「そんなことないよ」とだけ送りました。

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