
隣に越してきた女性の挨拶に、目をそらし続けた私→管理会社からの電話で決めていたこと
コラム
隣の部屋のドアに、鈴のついた鍵がささったままになっていました。チャイムを押すべきか、私はしばらく迷いました。隣の人とは、必要なこと以外は話さないと決めていたからです。
1年ほど前、管理会社から電話がありました。当時お隣に住んでいた若い女性が、私に話しかけられるのを負担に感じている、という相談でした。
管理会社からの電話で決めたこと
2階の角部屋に住んで10年以上。隣の住人には、自分から声をかけるのが当たり前だと思っていました。当時の隣の女性にも「荷物、届いてましたよ」「毎日がんばってるね」と、会うたびに話しかけていたのです。
電話を切ってから、自分の言葉を思い返しました。年の離れた男に毎回呼び止められる側の気持ちを、一度も考えたことがありませんでした。
その女性が引っ越していったあと、私は決めました。次に隣に来る人とは、必要なこと以外は話さない。
「どうも」だけで閉めたドア
新しく越してきたのは、20代くらいの女性でした。引っ越してきた日に、タオルの包みを持って挨拶に来てくれたのです。
「こんにちは。隣に越してきた者です。よろしくお願いします」
はきはきとした声でした。こちらこそ、と言いかけて、あの電話を思い出しました。口から出たのは「どうも」だけ。包みを受け取って、ドアを閉めました。
それからも隣の女性は、階段や集合ポストで会うたびに「こんにちは」と頭を下げてくれました。私の返事は、ちらりと目をやるだけ。少し大きな声で挨拶された日も、返事をしないまま部屋に入りました。
ゴミ置き場で振り返ると、袋を提げたまま階段を引き返す隣の女性の背中が見えたこともあります。避けられていると分かっても、これでいいのだと言い聞かせていました。
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鈴のついた鍵と、聞けなかった言葉の続き



























