「お前は俺のもの」と言った彼と、私の同僚が電話で話した12分→会社のエントランスで彼が口にした一言

コラム

通話履歴に残っていたのは、彼と同僚が話した12分間でした。何を話したのか聞いても、同僚は「たいした話はしてないよ」とはぐらかすだけです。

新しい企画のメンバーに選ばれたと話したのは、彼が私の部屋に来ていたときでした。うれしくて、チームの顔ぶれまで細かく説明してしまいます。ところが、聞いていた彼の表情は少しずつ曇っていきました。

ソファで言われたこと

「その企画、男もいるんだろ」

付き合って2年になる彼は、ソファに座ったまま私を見上げました。

「いるけど、仕事だよ」

「お前は俺のもの」
「忘れるなよ」

冗談めかした口調でもなく、彼はそれきりテレビのほうを向いてしまいます。

大事にされているというより、持ち物として扱われたような気がしました。言い返したい気持ちはあっても、うまい言葉が見つかりません。

その日は、お互いにほとんど話さないまま彼を見送りました。

置き忘れたスマホ

次の日、私は会社のデスクにスマホを置き忘れて帰ってしまいました。翌日に出社すると、隣の席の年上の同僚が申し訳なさそうに手を合わせてきます。

「昨日、電話が鳴りっぱなしだったから出ちゃった。彼氏さんだったよ、ごめんね」

通話履歴を見ると、彼との通話時間は12分になっていました。間違い電話の説明にしては、ずいぶん長い時間です。

「何を話したんですか」

「たいした話はしてないよ」

同僚はそう言って、パソコンの画面に向き直りました。
その週の終わり、企画の打ち上げのあとに、彼が会社まで迎えに来てくれることになったのです。

エントランスを出ると、ガラス扉の向こうに彼が立っていました。隣を歩いていた同僚が、「あ」と小さく声をあげて彼のほうへ歩いていきます。

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